最近の図書館はベストセラー本を10冊20冊とまとめ買いして、利用者への貸し出しに提供する。
この前、試しに、ある評判のベストセラー小説を検索してみたら、「予約待ち」が、なんと287人いた!
20冊も仕入れているのに、すごいものだ。
読みたくても「買わない」人たちが、こんなにいるのだ。
「図書館は、出版社と作家の敵だ!」と、ついこのあいだ林真理子さんが週刊文春のコラムに書いておられたが、残念なことに、まさにそんな状態になってしまった。
出版業界では、新刊書籍について、図書館が10冊購入すると、書店での売り上げが100冊消滅するとはよく言われることであるが、一般の人にはまったく知られていないだろう。
「本が売れない!」「出版不況!」と嘆かれて久しい。
「このままでは、日本の出版文化は滅びてしまう!」と、言われ続けてもうずいぶん経っている。
しかし、その元凶の一つが“図書館”だと言ったら、意外ではないだろうか。
「作家・出版社・書店・読者」という、いわゆる“出版流通”を妨害しているのは、図書館だ。
「書店」のところは「ネット書店」「コンビニ」でも同様。
要は、せっかく「読みたい人」がいて「売りたい人」がいるのに、図書館が「買わなくても読めますよ」と、余計なお世話をしているのだ。
しかも、「公費」で。
これでは、「公共・行政が、日本の出版文化を破壊しようとしている」ようではないか!
図書館は、自分たちの役割を勘違いしている。
利用者を増やそうとして、「禁じ手」を選んでしまったのだ。
しかし図書館の役割は、目先の利用者を増やすことではないはずだ。
図書館は、手に入りにくい貴重な書籍や、個人で購入するには不適当な全集・百科全書・レファレンスなどを確実に収集し、ストックし、利用しやすい管理・環境作りを心掛けるべきだろう。
一般書の新刊本は、断じて仕入れるべきではない。
まして、ベストセラーを10冊20冊と、まとめて競って仕入れるなど論外である。
少なくとも、書店の店頭から平積みがなくなるまで待つべきである。
どんなベストセラーも、ひとときの“嵐”が過ぎ去れば、店頭から消え去る運命にある。
その時こそは、図書館がベストセラー本を仕入れるべきタイミングだ。
店頭で買えなくなったベストセラー、──これは、まさに図書館の必須アイテムだ。
「文化のストック」にこそ、図書館本来の社会的使命があるのだと、今あらためて自ら認識すべきであるだろう。
あらためて断言するが、図書館は「無料の貸本屋」ではないのだ。
了
戸矢 学
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